滋賀県看護師西山美香の呼吸器冤罪事件真相と裁判現在は?山本誠刑事に恋して自白か

2020年4月28日に放送される「ザ!世界仰天ニュース」で滋賀県湖東記念病院で起きた看護師助手の冤罪逮捕事件について特集されます。

この事件は、2003年に滋賀県の湖東記念病院で看護師助手をしていた西山美香さんが入院患者の人工呼吸器のチューブを外して殺害。

西山美香さんは殺人容疑で逮捕されて12年間服役することに。

しかし、西山美香さんは取り調べの刑事から自白を強要されており冤罪であったことが判明。

その後、再審により無罪が確定した事件です。

この記事では、西山美香さんの冤罪逮捕事件の内容や裁判と現在について紹介していきます。

【仰天ニュース】2003年湖東記念病院で看護師助手の西山美香さんが人工呼吸器のチューブを外して逮捕される

事件は2003年5月に起きます。

滋賀県東近江市にある湖東記念病院で入院患者であった72歳の男性が心肺停止の状態で発見され、亡くなることに。

患者は植物状態で人工呼吸器を着けていたが、最初に発見した看護師は「人工呼吸器のチューブが外れていた」と証言。

チューブは外れるとアラームが鳴る仕組みでした。

警察は、この日当直だった第一発見者の看護師や、看護助手の美香さんを業務上過失致死の疑いで事情聴取を進めることに。

当初、2人は容疑を否定されていました。

しかし、2004年7月に美香さんが「病院に恨みがり、患者の人工呼吸器のチューブを抜いた」と供述し殺人容疑で逮捕・起訴されることに。

なぜ、西山美香さんは供述を一変させたのか。

そこにはある理由がありました。

 

滋賀県警の山本刑事が西山美香さんの恋心を利用して自白を強要させる

美香さんはなぜやってもない罪を自白したのか。

そこにある複数の理由がありました。

西山美香さんが自白してしまった理由

  1. 取り調べを担当した刑事への恐怖心
  2. 刑事に恋心を抱いてしまったこと
  3. 美香さんが軽度の知的障害・発達障害を持っていた
  4. 同僚を庇うために

 

1.取り調べを担当した刑事へに恐怖心

美香さんの取り調べを担当していたのは滋賀県愛知川(えちがわ)署の山本誠刑事。

山本誠刑事は「チューブは外れていてがアラームは鳴っていたはずだ」と、看護師や美香さんらに、強引な取調べを重ねていた。

美香さんは真実を話せば信じてくれると思い取り調べに応じるも、取調室で山本誠刑事から男性患者の遺影を示され、厳しく叱責されたという。

美香さんが服役中に書いた手紙には

なっていいひん(いない)もん(を)なったとは言えんと抵抗しましたが(刑事が)机をバンとしたりイスをけるマネをしたり……

と書かれており山本誠刑事に対して恐怖心を抱いていたことが伺える。

その後、「否認しても無理やと思って、刑事のいうことを聞いておかないと、痛い目に合うからと思って自白した」と述べていることからも。

その後、美香さんは容疑を否認していたが、2004年5月に「アラームは鳴っていた」と供述を変えることに。

 

2.刑事に恋心を抱いてしまったこと

供述を変えると山本誠刑事の態度がそれまでとは打って変わったようです。

急に優しくなり、プライベートのことも話すようになる。

さらに、山本誠刑事は美香さんが優秀な兄弟にコンプレックスを持っていたことを知り、言葉巧みに美香さんの気を引いて意に沿う供述を引き出そうとしていた。

山本誠刑事は滋賀県本部から派遣されたばかりの若手刑事。

若手刑事と密室空間で同じ時間を共有していうたこともあり、次第に美香さんは山本誠刑事に恋心を抱くようになったのです。

実際、美香さんは「取り調べの男性刑事が好きになり、気を引こうと思って自分が殺したと言った」と嘘の供述をしています。

 

3.美香さんが軽度の知的障害・発達障害を持っていた

美香さんは軽度の知的障害・発達障害を持っていました。

そのため、供述心理学者の鑑定で人に迎合しやすい傾向があるとされた美香さんは、山本誠刑事に優しくされたことで舞い上がり、好意を寄せてしまったのではないかと。

 

4.同僚をかばうために

また、供述を変えたことで同僚の看護師の取り調べが厳しくなったことを聞き、自らを責めてしまうことも。

その後の警察の捜査で、アラーム音を聞いた人がいないことや人工呼吸器にアラームを消すボタンがあることが判明。

すると今度は「アラームは鳴っていない。自分が音を消すボタンを押し続けた」と美香さんは再び供述を変えている。

このように、逮捕されるまで供述は何度も変わっていた。

そして「病院の待遇に不満を持った美香さんが、病院を困らせてやろうと、入院患者の人工呼吸器のチューブを外した」というストーリーが出来上がってしまう。

美香さんは「私が刑事を信用してしまったのもあかんし、好意を持ったこともあかん。それでみんなに辛い思いさしてしまって、ごめん」と述べている。

 

西山美香さんは12年間服役!その後再審が認められる

逮捕から2ヶ月後の2004年9月に初公判が行われます。

美香さんは一転して容疑を否認します。

山本誠刑事に好意を持ち、気に入られようとウソの自白をした」と無罪を主張。

しかし、2005年11月に大津地裁は懲役12年の判決を下します。

控訴するも、2006年10月に大阪高裁は棄却。

最高裁への上告をするも「捜査段階の自白は自発的で信用できる」として、2007年9月に最高裁は上告を棄却。

懲役12年が確定することに。

このころ美香さんは、「やってないのに、なんで刑務所におらんとアカンのや!」と、ホチキスの針を飲んで自殺を図ったり、頭を刑務所の壁に打ち付けたりして自暴自棄になることもあったそうです。

その後、両親のにより信頼できる弁護士に協力を得ることに。

そして、2010年9月に裁判のやり直しを求める再審請求を行うも、2011年3月に大津地裁は第1次再審請求棄却。

同年5月には大阪高裁が即時抗告棄却し8月には最高裁特別抗告棄却されることに。

それでも両親は再審のために弁護士を探し続け、協力を得ることが出来た弁護団長を務める元裁判官の井戸謙一さんにより事態は大きく一変。

井戸謙一さんの協力により2017年12月に大阪地裁は再審開始を決定。

地裁は解剖時の血液データなどから、不整脈で自然死した可能性を認めた。

自白の目まぐるしい変遷も問題視し、「警察官、検察官の誘導があり、迎合して供述した可能性がある」と指摘。西山さんが犯人であると認めるには「合理的な疑いが残る」と結論づけた。

自白の矛盾点

  • 急性低酸素状態による心停止で必ず現れる症状が解剖所見にみられない
  • 呼吸を停止した人は3分では死に至らない
  • 病院を困らせるために「事故」に装った犯行なら自ら「殺人」を供述する必要はなかった
  • 看護師詰所の隣室、しかも他の患者もいて、同僚看護師がナースコールなどいつのぞかれるか分からない部屋は犯行が目撃されやすく、犯行方法が不自然、不合理

(引用:http://share-health.blog.jp/)

 

滋賀県警が15年間も重要資料を提出していなかったことが判明

そして、再審開始が確定後に驚くべきことが判明します。

滋賀県警が殺害を否認する重要な捜査書類を15年間も検察に提出していなかったのです。

刑事訴訟法では捜査書類を“速やかに”検察に送ることが定められていますが、滋賀県警がこれに反して有罪立証に不利となる「消極的な証拠」を隠していた疑いがあります。

裁判所の決定を受け弁護側が検察に証拠の開示を求めたところ、人工呼吸器を故意に外したことを否定する西山さんの手書きの自白調書が逮捕前につくられていたことがわかりました。

ほかにも「男性患者はたんが詰まったことが原因で死亡した可能性がある」という医師の所見が記された捜査報告書も開示されました。

どちらの書類も滋賀県警は検察に提出していませんでした。

(引用:http://daisuke0428.hatenablog.com/)

また、西山美香さんの弁護を担当した井戸弁護士によると

平常時は、血中のカリウム濃度は3.4~5.1ミリモル/リットルあるのですが、亡くなった患者の死後の解剖記録によると、1.5ミリモル/リットルと異常に低く、致死性不整脈による“自然死”だった可能性が出てきたのです

と述べていることから患者は自然死であった可能性が非常に高かったのです。

滋賀県警は早い段階から上記にことを把握していたにもかかわらず、西山美香さんを逮捕し強引に自白させた。

しかも無実の可能性を示す証拠を、検察に提出していなかったわけです。

警察が資料を提出していれば、西山美香さんが冤罪逮捕されることは未然に防げていたのではないかと。

 

再審裁判の結果や西山美香さんの現在は

2020年3月31日、大津地裁は西山美香さんに無罪判決を言い渡します。

大西直樹裁判長は無罪判決について

  • 「任意捜査の段階から供述が目まぐるしく変遷している」
  • 「自白の任意性に重大な疑義がある」
  • 「他殺された事件性の証明がなく、犯罪の証明もない」
  • 「西山さんの特性や恋愛感情を利用強い影響力を独占して供述をコントロールしていた」

と述べています。

さらに、「不当、不適切な捜査によって誘発された自白だ」と指弾し、自白偏重の警察や検察の捜査手法が改めて批判。

また、患者の死因について「致死性の不整脈や、たんの吸引が行われなかったことによる低酸素状態に陥った疑いがある」とし、自然死の可能性が高いと判断しています。

実に最初の再審請求から9年半の出来事でした。

事件発生から西山美香さんの無罪が認められるまで
  • 2003年5月:湖東記念病院で患者が亡くなる
  • 2004年5月:西山美香さんが取り調べで「アラームが鳴っていたのを聞いた」と供述
  • 2004年7月:西山美香さんが「自分が患者を殺した」という自白調書が作成される
  • 2004年7月:西山美香さんが逮捕・起訴
  • 2005年11月:大津地裁が西山美香さんに懲役12年の判決を下す
  • 2007年5月:最高裁が上告棄却→刑が確定
  • 2010年9月:再審請求
  • 2012年9月:大津地裁に2度目の再審請求
  • 2015年9月:大津地裁が再審請求を棄却
  • 2017年8月:西山美香さんの刑期が終わる
  • 2017年12月:大阪地裁が再審開始を決定
  • 2019年3月:最高裁が大阪高検の特別抗告を棄却→再審開始が確定
  • 2020年2月:大津地裁で再審公判
  • 2020年3月:無罪判決が確定

 

取り調べを担当した山本誠刑事の現在と滋賀県警の対応について

取り調べを担当した山本誠刑事は現在、階級は警部で長浜署の刑事課長を務めているようです。

また、滋賀県警の滝澤依子本部長は再審判決を受け、会見で「真摯に受け止め、今後の捜査に生かしたい。一同その思いで取り組んでいきたい」と述べている。

ただ、美香さんへの謝罪はなく再発防止策などについても答えてはいなかったようです。

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